Loss Angeles
Artist |
Throne of Chaos |
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Album |
Loss Angeles |
![]() Throne of Chaos |
Track List : '1. Window 2. Mary Lou Is Dead 3. Acid Highway 4. Gothamburg 5. Blue Lady 6. Wait 7. The Blue Lady Suite 8. Break-a-Neck 9. Bite the Bullet 10. Smoke on the Water 11. Loss Angeles,Loss Angeles' |
総評
Average Score |
他ジャンルに対して興味が湧く時というのはこういう時なのだろうか。Skylarkを起点とする根っからの真性クサメタラーである俺Yudaiの2004年ランキングにおいて、かの狂速バンドDragonforceと年末まで熱戦を繰り広げ堂々1位に輝いたのがこのThrone of Chaos改めTOCの3rdアルバムLoss Angelesである。このバンドは1stでChildren of Bodom + In Flames的な質の高いメロメロなメロデスをやっていたのだが、2ndは別バンドかと勘ぐらせるほどクリーンボイス等を取り入れた所謂「気持ちSoilwork的」今どきのメロデスへと音楽性を変化させていたので、3rdはどうなる事やらと思っていたら更に我々の想像を超える程の変化を見せつけてくれた。 まず根本的な所としてデスメタルではほとんど無い。デス声とアグレッシヴさという点から判断してそこへ分けることの出来るのはBite the Bullet1曲のみであり、他は極めて陰鬱なゴシックメタルテイスト満載なのだ。だが、やはり素晴らしいのは他レビュワーも既に認めているように、ほぼ完全に音楽性を変化させたにも関わらずこれでもかと上質なメロディを注ぎ込み洗練した楽曲群を封じ込めるのに成功している事だろう。特別な要素としては今作より正式なメンバーとなったBride Adornedも兼任しているボーカルのクリーンボイスがちょっとへたれた感じがし、それが楽曲の陰鬱さと混ざり合ってとけ込んでいる感じが超Yudaiタイプである。そんなかんじで珠玉の楽曲ばかりなのだが、中でも強烈に惹かれたのは1~6の流れで、曲それぞれのスタイルは違えども、切なさ、退廃感といった種のモノを皆一様に根底に引きずって畳みかけてくるメロディーがたまらない。そして欠かすことの出来ないのがSmoke on the Waterの最強カバーである。本来カバー曲というのは原曲に忠実に行われるのだが、何故か激烈に疾走しているのだ。歌舞いてるようなこのやり方は彼らのセンスを特に感じられる最高のカッコヨサだ。極限までメロスピをバカにしきったような「イエエエーイ!」で始まるメロスピチューンLoss Angeles, Loss Angelesには思わず苦笑されられる。 天才と言うよりは奇才といったほうがしっくりくる彼らの奔放さが作り上げたバラエティ豊かなこの作品。ジャンルにしりごむ事無くこの鬱メロの珠玉さを味わって欲しい。というかこの質ならばもっと評価されてしかるべき存在だと思う。せめてSmoke on the Waterにおけるトンでるアレンジセンスだけでも(笑)自分にとっては梅雨の時期にDark Lunacyと欠かせない大切な存在である。一生付き合っていきたいアルバム。 Windowでは徹底的に無駄を無くしたGソロが演奏のハイライトとしてあるわけだが、そこまでを持ってくるまでの演出が心憎いわけだが、特に注意して貰いたいのはドラムの細かい金物いじりである。一転「静」のパートへと雰囲気が変わった時の情感豊かなライドいじり→単純ながらもKeyメロとベースを引き立てるハイハットのダブルストローク→最初とは異なるカップを使ったライドいじり・・・の箇所は思わず興奮のあまりシャツを噛みちぎりそうになるほど曲調にマッチしている。乾いたスネアの響くタイミングもまさにここしかないってかんじだ。良いドラマーだねこの人 |
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Best tune : Blue Lady & Wait 前者は初めて聴いた時に真っ先に浮かんだ光景が、朽ち果て草木が生い茂る・・・そんな見捨てられた教会の抜け落ちた天井から太陽が壇に差し込んでるような蒼い光景だった。そんな浮遊感のある聖なる印象をあたえながら退廃を謳うような倒錯した雰囲気にやられた。 後者は曇りながらも彼方には光が差してるような雰囲気の中の、妙にキャッチーなサビがたまらん。ハマる。 あとWindowもMary Lou Is Deadももちろんお気に入り。 |
毎回作風の違うThrone of Chaosですが、今回はメランコリックなゴシックメタル中心にデスラッシュ、メロスピ、バラード、カヴァーとてんこ盛りです。1枚でかなり美味しいアルバムを作り上げましたね。朗々と歌い上げる曲も、デスヴォイスを使った曲もありますが、どのような楽曲をプレイしてもきっちりとアルバムの中に収まっています。また、元々高い作曲能力を有する彼等のこと、じっくり最後まで聴かせるアルバムとなりました。 楽曲はのっけからノリノリのゴシックで責め立てます。そうかと思えば、2ではいきなり王道バラードを配置してきたりもします。このバラードがまた非常に良い。続く3はデス声とクリーンヴォイスの掛け合いがおもしろいスリリングな楽曲になっています。1曲1曲が色気を放って自らをアピールしており、魅力を引き立てあっています。 10はカヴァーです。このカヴァー、メタルアーティストがやってるカヴァーの中でもとりわけ出色の出来です。原曲が名曲であるのはもちろんのことですが、旨く料理しており、ともすると蛇足になりがちなカヴァーですが巧くアルバムの中に溶け込ませております。色々詰まったアルバムだからこそと言った側面もありますが。かなりハマリ度の高い楽曲であることは間違いないでしょう。ライブでやったら盛り上がりそう。 続く11がメロスピなわけですが、聴いてたらいきなり疾走して叫び出すので思わず笑ってしまった。こういうメロスピの使い方もあるわけか。アルバムの中に押し込むと異色な気もしなくはないが、完全にTOC色だしいいか。楽曲としては明るいと言うよりは美妙に翳りのあるアルバムの延長線上にあるメロディなので雰囲気をぶちこわすわけでもなく。 そんなおもしろいアルバムでした。 |
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Best tune : Mary Lou Is Dead バラード大好き。アコースティックな演奏がたまりません。 |